はじめに
第T章 キャリア開発・能力開発のヒントは、あなたの身近にある!
第U章 評価に対して意識はこう変えよう
1 これまでの被評価者の評価観
(1) 評価は、管理職(評価者)が行うもので、一般社員(被評価者)は評価を受ければよい
(2) 被評価者には評価の知識は必要ない
(3) 評価は、処遇(昇給・賞与・昇格)を決めるもの
2 どのように意識を変えるか
(1) 評価を広く捉える 被評価者は評価の当事者
(2) 評価のプロセスで協働する
(3) 被評価者にも評価の知識が必要
@ 評価のプロセスでの協働がスムーズに進む
A 評価の納得性が高まる
B 「評価者の評価」に対する理解が深まる
C 評価者に評価レベルを上げる努力を促す
D 将来評価者になったとき、人事評価の知識はそのまま役立つ
(4) 評価のパワーに気づき活用する
@ 評価のパワー:「能力開発」
A 評価のパワー:「コミュニケーションの促進」
B 評価のパワー:「モチベーションアップ」
C 評価のパワー:「企業・組織の価値観の共有」
第V章 被評価者が人事評価に関心を持ち、積極的に関わると“新しい風景”が見える
1 評価のパワーの果実を享受できる
(1) 自分自身の能力開発・キャリア開発が進む
(2) 上司とのコミュニケーションが円滑になる
(3) 評価の納得性が高まりモチベーションが向上する
(4) 企業・組織の価値観と方向性が合った行動をとる
2 被評価者自身の業績が上がる
3 被評価者自身の評価が上がる
4 企業・組織にもメリットがある
(1) 評価の信頼性・納得性が上がり、業績が向上する
(2) 双方向のコミュニケーションが促進される
(3) 価値観の共有を促す
5 これまでのまとめ…本書で伝えたいこと
第W章 被評価者が知ると得する…評価の基礎知識
1 評価のタイプ
(1) 相対評価
(2) 絶対評価
(3) ハイブリッド型(絶対評価の相対配分)
(4) 総合評価
(5) 分析評価
(6) 評価のタイプの選択
2 評価項目の定義、評価の段階
(1) 評価項目の定義
(2) 評価の段階
3 評価の進め方
(1) 職務行動の選択
(2) 評価項目の選択
(3) 評価段階の選択
(4) 個人目標の評価
4 評価で陥りやすいエラー
(1) ハロー効果
(2) 対比誤差
(3) 寛大化傾向
(4) 逆算誤差
(1) 中心化傾向
(2) 期末効果
(3) 論理誤差
本書で伝えたいこと
『はじめに』の抜粋
本書は被評価者(一般社員)向けの評価読本です。本書で被評価者に伝えたいことを要約すれば上図『本書で伝えたいこと』のとおりになります。
被評価者には「評価は受ければよい」「評価の知識は必要ない」「評価は処遇を決めるために行うものである」という意識の方が多いのではないかと思います。こういう評価に対する意識は能力開発や評価の納得性を高める観点からは、変える必要があります。評価に対する意識を変えるとは「被評価者は“評価は受けるもの”という考えを払拭し、評価に積極的に関わるようにすること」と「被評価者は“評価のパワー”に気づき、“評価のパワー”を活かすことが必要であること」の二つです。
評価に積極的に関わるとは「積極的な“評価のプロセス”への協働」と「人事評価の知識を持つ」ことです。
評価のパワーとは評価にもともと備わっているパワー(力)ということで、「能力開発」「コミュニケーションの促進」「モチベーションアップ」「企業・組織の価値観を共有」です。
このように評価に対して意識を変え、評価に積極的に関わるようにすれば新しい風景が開けます。つまり「能力開発・キャリア開発が進む」「上司とのコミュニケーションが円滑になる」「評価の納得性が高まりモチベーションが高まる」「企業・組織の価値観と方向性が合った行動をとる」など評価のパワーの果実を享受出来るとともに「自分の業績が上がる」「自分の評価が上がる」というメリットも享受出来るのです。もちろん企業・組織も「評価の信頼性・納得性が上がり、業績が向上する」「双方向コミュニケーションが促進される」「価値観の共有を促す」というメリットが享受出来ます。
評価に関する知識という面では、「評価のタイプ」「評価の進め方」「評価で陥りやすいエラー」を被評価者が知っておくべき評価の知識として上げています。
評価の信頼性・納得性を高めるのは評価の究極の目的ですが、これを阻む3つの壁があります。「制度の壁」「評価者の壁」「被評価者の壁」です。企業・組織は「制度の壁」を乗り越えるために評価制度の整備や評価制度のオープン化を図ってきました。「評価者の壁」を乗り越えるために評価者研修等を行っています。「被評価者の壁」は、それがあることすら認識されなかったり、認識しても後回しになり、これまであまり「被評価者の壁」を乗り越える施策は取られませんでした。実際、被評価者研修に対しては各企業・組織で温度差があるのも事実です。「なぜ敢えて一般社員に余分な知識をつけるのか」「寝た子を覚ますようなものだ」と考える企業・組織はまだまだ多いと思います。しかしこのようなリスクはあるが、被評価者研修を行うメリットは大きいとして被評価者研修に取り組もうと考える企業・組織も増えてきつつあります。
本書は、被評価者研修を肯定的に捉える企業・組織が被評価者研修を行う場合の副読本として活用することも出来ます。日本経済新聞出版社刊のDVD「被評価者のための評価面談の基礎知識」とセットで行うことによって効果的な被評価者研修が出来るようになっています。
この「はじめ」の中、また本文の中にも「評価のプロセス」「協働」「評価のパワー」など、初めて聞くような言葉があると思います。これらの言葉は最後のページに索引を設けていますので、索引から該当ページを開いて理解していただきたいと思います。
2013年1月 河合克彦